セバスチャンが執事日誌を綴る様子をイメージした写真
BUTLER JOURNAL

海を越えて、日本の執事文化を語ってまいりました

セバスチャン/

名誉執事セバスチャンが、海外での講演をめぐる旅を振り返ります。文化の懸け橋として、国境を越えて執事の心を伝えることの意味を綴ります。

木の意匠と暖炉のある高級ホテルのロビーで、執事が手を差し伸べてご案内する様子

お久しぶりでございます。執事のセバスチャンでございます。先般、海を越えて、ある国の執事文化に関わる催しにお招きいただき、日本の執事について語ってまいりました。本日は、その旅の便りを綴らせていただきます。

私は長年、協会の国際交流に携わってまいりました。世界の執事学校や協会とのつながりを結び、相互に訪ね、学び合う。これは、日本の執事の水準を高めていくうえで欠かせない務めでございます。今回の旅も、その営みのひとつでございました。

海外で日本の執事文化を語ると、しばしば驚かれます。「執事といえば英国のもの。日本に独自の文化などあるのか」と。かつては、そうした問いに少なからず身構えたものでございます。けれど今は違います。一八九〇年から続く全日本執事協会の歩みと、日本ならではの繊細な気配りの文化を、資料とともに落ち着いて説明すれば、多くの方が深くうなずいてくださる。文化とは、優劣を競うものではなく、互いの違いを面白がるものでございます。その姿勢さえ保っていれば、国境は決して壁にはなりません。

この歳になっても、旅は私に多くのことを教えてくれます。異国の同業の方々と交わす言葉の一つひとつが、自分の立つ場所を照らし直してくれるのでございます。日本を出て初めて、日本の執事の良さがくっきりと見える。ガーデニングを愛する私は、花を見れば土地の気候を思い、音楽を聴けばその国の歴史を思う。旅とは、そうして世界の奥行きに触れることでもございます。

執事の心は、国境を越える――これは私の信条でございます。言葉が違い、作法が違っても、人を思いやる心に国境はございません。その一点を伝えるために、私はこれからも、必要とあらば海を越えてまいります。長い便りにお付き合いいただき、ありがとうございました。

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