
バトラー・レイナが、食卓に添える花について綴ります。行きつけの花屋さんとのやりとりから、香りと高さの選び方まで。食のおもてなしを支える、小さな一輪の話です。

皆様、こんにちは。執事のレイナです。今日は、私が食卓のお仕事でいつも心を配っている「花」のお話をさせてください。テーブルコーディネートというと器やクロスに目が行きがちですが、実は花の選び方ひとつで、食卓の印象はずいぶんと変わるものなのです。
私には、休みの日にも足を運ぶ行きつけの花屋さんがあります。その日その日で入っている花を見せていただきながら、「今度こういう会があって」とご相談するのが、私の楽しみのひとつです。花屋さんは季節の移ろいを誰よりも早く教えてくださる方で、店先に並ぶ花を見るだけで、ああもう初夏なのだと気づかされます。
食卓に花を選ぶとき、私が最も気をつけているのは「香り」です。どんなに美しい花でも、香りが強すぎるとお料理の繊細な香りを消してしまいます。ですから食卓には、香りの穏やかな花を選ぶのが鉄則です。そしてもうひとつが「高さ」。テーブルの向こうのお客様のお顔が花で隠れてしまっては、会話が弾みません。目線を遮らない低いアレンジが、食卓の花の基本なのです。華やかさよりも、まずは邪魔をしないこと。それが、脇役に徹する花の美しさだと私は思っています。
以前、あるお祝いの席で、思い出の花を装花にそっと忍ばせたことがありました。詳しいことは申せませんが、その一輪に気づかれたお客様が、静かに目を潤ませていらしたのを、今でも忘れられません。花は、言葉にできない気持ちを代わりに運んでくれることがあるのです。
皆様のご家庭でも、食卓に一輪、季節の花を飾ってみてください。香りは控えめに、高さは低く。それだけで、いつものお食事が少しだけ特別になるはずです。またこの日誌で、季節の工夫をご紹介してまいりますね。

レイナ
バトラー
美しい所作と、心に残る食卓を。女性ならではの細やかさで、食のおもてなしを極める。


