スミスが執事日誌を綴る様子をイメージした写真
BUTLER JOURNAL

白手袋は、なぜ白でなければならぬのか

スミス/

式典マスター・スミスが、執事の白手袋に込められた意味を分解して説きます。単なる装いではない、その理屈についての武骨な一篇です。

白手袋の執事が高級車のドアを開け、お客様をお迎えする所作

スミスでございます。

執事が白い手袋をはめている姿は、皆様もよくご存じでしょう。しかし、なぜ「白」なのか。ここまで考えたことのある方は、そう多くないはずでございます。

白でなければならぬ理由は、はっきりしております。白は、汚れがすぐに分かる色だからでございます。

<汚れが一目で分かる>――これが何より重要でございます。給仕の手が汚れていれば、器も料理も汚れる。白い手袋は、その手が清潔に保たれているかを、常に自分自身と、そしてお客様に対して証明し続けているのでございます。もし黒い手袋であれば、汚れは隠せてしまう。隠せるということは、気の緩みを生むということでございます。

<指先の所作が際立つ>――白い手袋は、手の動きをはっきりと見せます。物を扱う手つき、差し出す角度、お辞儀に添える手の位置。それらすべてが白によって強調され、ごまかしが利かなくなる。つまり白手袋とは、自らに緊張を課すための道具でもあるのでございます。

<品位の一線を引く>――そしてもう一つ。白い手袋は、その場に一本の凛とした線を引きます。素手で物を扱うのと、白手袋で扱うのとでは、受け取る側の心持ちがまるで違う。これは理屈ではなく、目に見える敬意の形でございます。

つまり白手袋は、飾りではございません。清潔の証明であり、自らへの戒めであり、敬意の可視化でございます。たかが手袋、されど手袋。執事の道具のひとつひとつに、こうした理屈が込められているのでございます。

また、お会いしましょう。

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