ムッシュが執事日誌を綴る様子をイメージした写真
BUTLER JOURNAL

休みの日は、美術館をひとりで歩きます

ムッシュ/

セカンドスチュワード・ムッシュが、休日に美術館をひとりで巡る時間について綴ります。美の番人が、仕事を離れてただ一人の鑑賞者になるひとときのお話です。

皆様、こんにちは

皆様、こんにちは。執事のムッシュと申します。仕事柄、美術品には日頃から囲まれておりますが、それでも私は、休みの日にわざわざ美術館へ足を運ぶのが好きなのでございます。今日はその、少しばかり物好きな休日のお話を。

仕事で美術品と向き合うときの私は、どうしても「守る者」の目で見てしまいます。この温度と湿度で大丈夫か、傷みはないか、どう保管すべきか――美しさを味わう前に、まず状態を案じてしまうのでございます。それはそれで大切な務めなのですが、ときにその目を、ひととき手放したくなる。

ですから休みの日には、あえて「ただ一人の鑑賞者」になりに行くのでございます。管理のことも、価値のことも、何もかも忘れて、ただ一枚の絵の前に立つ。すると不思議なもので、仕事では気づかなかった作品の「声」のようなものが、静かに聞こえてくるのでございます。ああ、この画家はここで筆を迷ったのだな、とか、この静物には作者の孤独が滲んでいるな、とか。専門知識をいったん脇に置いたときにこそ、心が動く瞬間があるのでございます。

一枚の絵の前で、時間を忘れて立ち尽くす。そうして館を出るころには、なんだか心の澱が洗い流されたような、清々しい気持ちになっているのでございます。美しいものに、ただ純粋に心を動かされる。この感覚を忘れずにいることこそ、美の番人を務めるうえでの、私の密かな支えなのかもしれません。

皆様も、たまには目的も予備知識もなく、ふらりと美術館を訪れてみてくださいませ。お気に入りの一枚に出会えたなら、それはもう、素晴らしい休日でございます。それでは私も、また日々の仕事に励んで参ります。

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