ムッシュが執事日誌を綴る様子をイメージした写真
BUTLER JOURNAL

執事が「黒執事」を、また熱く語らせていただきます

ムッシュ/

セカンドスチュワード・ムッシュが、大好きな作品への愛を軽妙に熱弁します。美術の番人が休日に夢中になる、もう一つの世界のお話です。

帆船模型や地球儀の並ぶ書斎で、執事が白手袋でシルクハットをブラシで手入れする様子

皆様、お久しぶりでございます。全日本執事協会所属のムッシュと申します。さてさて今回は、私が以前から夢中になっている漫画「黒執事」について、性懲りもなく、また熱く語らせていただきたいと思います。

普段の私は、美術品の状態を見極め、絵画や陶磁器を守る「美の番人」などと呼ばれております。堅苦しい人物と思われがちなのですが、実のところ、休日はこうしたサブカルチャーにどっぷり浸かるのが何よりの楽しみでございまして。堅物に見えて、中身はなかなかどうして、ミーハーなのでございます。

「黒執事」の何が素晴らしいか。まず、あの十九世紀イギリスの舞台設定の作り込みでございます。時代考証に基づいた衣装、建築、調度の一つひとつが、実に丁寧に描き込まれている。美術に携わる者として、私はついつい背景の骨董品や絵画にばかり目が行ってしまうのでございます。「おや、この壺は」などと、物語そっちのけで唸っていることもしばしば。職業病でございますね。

そしてもう一つ。主人公の執事セバスチャンの、あの完璧な所作でございます。もちろん彼は悪魔でございますから、我々人間の執事が真似できるものではございません。ですが、雇い主への忠義、細部への徹底したこだわり、そして一切の隙を見せぬ佇まい――そこには、我々執事が理想として仰ぐべきものが、確かに描かれているのでございます。フィクションから学ぶこともある、というのは、こういうことでございましょう。

休日に好きなものに夢中になる時間は、心の栄養でございます。私たち執事も、心が満たされていてこそ、お客様に良いおもてなしができるというもの。皆様も、ぜひご自分の「夢中になれる世界」を大切になさってくださいませ。私も明日からまた、日々の仕事に励んで参ります。

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